それおもしろいね

まなぶことで資産を増殖させるブログ

三島由紀夫の文体の定義が難しすぎるのだが、こういうのはブログを書く人にも無関係ではあるまい

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中央公論社から出ている三島由紀夫の『小説読本』がおもしろい。

「小説とは何か」「私の小説の方法」「私の文学」など、私のような「小説ってなんだ?」と思っている人間からすると楽しみな目次が並ぶ。

文体は普遍的で理念的なものである

・私は私の使用法に従って、文章という言葉と文体という言葉をわけて考えている。
・文体は普遍的であり、文章は個性的である。文体は理念的であり、文章は体質的である。個性的で体質的なものだけが、小説を芸術として成立たせるというのが、日本的な「芸」の考え方である。また文章は一個人の行為のようなもので、具体性を離れず、直感的にしか伝承されえない。日本の芸能は皆こういう伝承のされ方をし、方法論はかつて顧みられなかった。だからもし純粋に文章だけで成立った小説があるとすれば、それは方法論的芸術とは言えないから、真の小説とも言えないのである。

文体→普遍的、理念的。
文章→個性的、体質的。
日本的な芸の考え方だと、個性的で体質的なもの、つまり三島で言うところの「文章」のほうが芸術。
ただそれだと、直感的にしか伝承されない。三島は小説を方法論的芸術ととらえているわけだから、「文章」は小説ではない。

文体とは、小説家の世界解釈の拠り所なのである。

・文体と言われるほどのものは、ある局限された環境の局限された行為や感覚にだけ妥当するものではなく、およそ人間に関係したあらゆるものに妥当しなければならない。浅草のお好み焼き屋の描写にだけ妥当するのは文章にすぎず、文体はもちろんそういうものを描きうるのみならず。大工場でも政府の閣議でも北極の航海でも、あらゆるものを描き、あらゆるものに妥当する。文体とは、小説家の世界解釈の拠り所なのである。

違うものを書いても同じ匂いを発すべし!ということか。たしかに、グルメ記事と内省記事がともに「これは○○さんのブログ」と思わせるケースはある。そういう人は文体を獲得しているのかもしれない。もちろん私はできていない。今後の課題である。

文体は主題を小説へ伝達する

・小説家は文体によって世界と対決するから、おのずから彼が一生に書く小説の主題は、すべて文体の問題に含まれてくるわけである。
・主題は、小説家が青年時代から徐々に自我に目ざめ、自我と世界との対決を迫られるにつれて、その対決の度合によって、さまざまな変化を示してくる。大筋は一つであるが、彼が小説を書く年齢によって、扱われる主題は多様な変化を示さざるをえない。その主題の拠り所が文体であることは先に述べたが、その主題を小説各部へ伝達するのも亦、文体なのである。

小説家には、その人が書くべき主題がある。これは、ブログでもそうあるべきだ。私は最近、世界のおもしろさについて書きたいという欲求が出てきたところだ。たしかにそれも、これまでの自分の人生を振り返り、自分の本質は何で、一生かけて追究していくものは何だ、という問いから導いた結論である。主題と文体は、たしかに相互に関連しているのだろう。三島いわく、その主題を小説に行き渡らせるのは文体であると。文体が弱いと、文章的なスキルで隙間を埋めないといけなくなるのだろう。感覚的には理解できるところだ。

不断の訓練が必須である

・小説の文体は理論的に作り出されるものではない。言葉の使用法に関する技倆(メチエ)は、不断の訓練からしか生まれないのである。
・私はこういう話をきいたが、画家がフランスへ修行に行って帰朝して長足の進歩をみせるということは、必ずしも泰西の傑作に数多く触れたり、海外の新機運に身近かに触れたりした結果ではなくて、実に単純なこと、毎朝きちんと、(描きたい気持があってもなくても)、一定の時間を、画架を前にして坐るという習慣が、外国で自然についてきて、帰朝後もその習慣を遵奉するときに、そういう習慣をもたぬ、行き当たりばったりの気分本位で画を描いている画家に比較して、はるかに著しい進歩が見られるということらしい。

私はここで語られている「行き当たりばったりで気分本位」で生きてきた。だから何も身になっていない。だが、このブログを通して、そこを変えていったらいいことが起こるかもしれないと思っている。
理論は、とても大切だ。理論があって訓練があれば、著しく才能を欠いた人以外は上達する。自分が著しく才能を欠いた人間であると判断したならば、違うものを探せばいいだけである。

最近になって小説論の類を読んでいるのは気まぐれだが、ブログをまじめに書いてみようと思い始めた時期と重なったのは嬉しい偶然だ。作家は「書く」ということに関してこれだけの精度で考えているのかと驚嘆した。それとともに、書くというのは思っていた以上に楽しい行為だとも感じる。

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自己紹介

いしざわ(空論家)

いしざわ(空論家)

職業:空論家、トレーダー。
スキル:事業企画、株式トレード、ファシリテーション、アイデア創出
関心範囲:ライフログ、学び、資産形成
解決したい社会問題:普通の30代以上がどんどん苦しくなる件。ザコでも無職でも楽しく生きられることを、自身の経験をもとに伝えたい。
・上記を実践しようとして、トレカ屋さんでアルバイトに応募しているが、なかなか受からない。 [詳細]